2019年4月25日(木)

8

切らないワキ汗治療器って何?!お医者さんに聞いてみた

医療機関で受けられるワキ汗治療については、この記事(汗をかかない方法ってあるの?!まずは仕組みを解説)で解説しました。(まだ読んでないそこのあなたは、一回読んでみて欲しいメェ!)
そこで出てきた「切らないワキ汗治療器」について、今回は実際に使っている先生にお話を聞きに行ってきたよ!

この記事の担当:ジミーくん
監修・ご協力:藤本卓也 先生(こまちくりにっく 院長)

    1.ワキ汗は病院へ?

    ジミーくん(以下、ジミー) 藤本先生、今日はよろしくお願いします。
    藤本先生(以下、藤本) よろしくお願いします。
    ジミー 早速ですが、先生はワキ汗に対してどのような治療をされてきたんですか?
    藤本  うーん、その前にぜひ伝えたいんですが、まずワキ汗に悩んでいる人に対して病院に来る患者さんが、すごく少ないんですよ。
    ジミー え、そうなんですか?
    藤本  ええ。2012年の東京医科歯科大学の調査によれば、日本国内で推測される腋窩多汗症、つまりワキ汗が多くて悩んでいる人は531.9万人ぐらいいるはずなんです。でも、そのうち病院に行った人って実は6.2%しかいなくて。更に何か治療を受けた人は病院に行った人のうち、10%しかいないんです。
    ジミー そうなんだ・・・知らなかったメェ。
    藤本  ほとんどの方は、市販品を使用しているか、何もしていない。今は市販の制汗剤がすっごくたくさん出てるでしょう?だから、それで何とかしようとする人が大半なんですよね。
    ジミー なるほど・・・


    ※Fujimoto, T., Kawahara, K., & Yokozeki, H. Epidemiological study and considerations of primary focal hyperhidrosis in Japan: from questionnaire analysis. The Journal of dermatology, 40(11), 886-890, 2013

    藤本  若者のニキビもそうなんだけど、一昔前は、「ニキビは青春のシンボル」なんて言葉もあったくらいだし、ニキビくらいで病院なんて・・・という考えの人がすごく多かった。でも、実際には早めに適切な治療をしないとニキビ痕が残ってしまったり、正しくない方法で洗顔やスキンケアを行って悪化させてしまう可能性もあるから、皮膚科に行って正しい治療を受けるべきなんです。最近は少しずつ「ニキビは病院で治療する」っていう認識も広まってきたけど、ワキ汗に関してはまだまだだなぁと感じています。
    ジミー そうですメェ・・・まずは、悩んでいたらお医者さんに相談する、という認識自体を広める必要があるメェ。
    藤本  そうそう。ワキ汗って、汗そのものというよりも、汗ジミが目立ってしまったり、汗のにおいが気になったりして、それを人から指摘されたり、実際には指摘されなくても、そう思われているんじゃないか?という不安につながりやすい。
    ジミー テレビに出ている人でも、汗ジミがクローズアップされたネット記事が出たりしますもんね。
    藤本  ええ。そこをいじるか?って思ってしまいますけど・・・最近はスメハラ(スメルハラスメント(和製英語: smell harassment):臭いにより周囲を不快にさせる嫌がらせのこと)なんて言葉もあるみたいですしね。そういうわけで、ワキ汗をたくさんかいてしまうことで、日常生活に不都合が出てくる。医療業界ではそういうことをQOLが下がる、と言います。QOLというのはQuarity of Life、つまり生活の質のことですね。やっぱり皆、ハッピーに過ごしたいじゃないですか。

     

    2.ワキ汗治療って大変?!

    藤本  話が逸れてしまいましたが、治療法についての質問でしたね。
    ジミー はっ!そうでした。藤本先生は、どんな治療を行ってきたんですか?
    藤本  僕は形成外科の出身だから、今まではワキ汗の治療といえばもっぱら手術でした。
    ジミー 手術ときくと、一般人としてはちょっと緊張してしまうメェ・・・どんな手術か、説明していただけますか?
    藤本  例えば、剪除法(せんじょほう)という名前の手術があります。保険の適応になる手術で、まずワキに切れ込みを入れてワキの皮膚をひっくり返します。そうすると、エクリン腺、アポクリン腺という汗をつくるところがあるので、それをひたすらハサミでちょんちょん切り取っていく…という、けっこうやる方が大変な手術です(笑)。
    ジミー 目で見て取っていくんですもんね。
    藤本  そうです。はさみも手作業。この手術を取り漏らしなく完璧にやるのって、本当に大変なことなんです。

    ジミー 想像しただけで目の奥が痛くなりそうだメェ・・・それで、ひっくり返した皮膚を元に戻して、縫うという流れですか?
    藤本  そうなんですが、一回皮膚をはがしてしまってるので、はがした皮膚をきちんとくっつけないといけない。だから、縫って傷口を閉じたら、ワキの部分をしっかり圧迫して1~2週間くらい固定が必要で。やる方も大変だし、患者さんもかなり大変な手術だと僕は思います。
    ジミー こんな風になるんですね!これは大変そうだメェ・・・

    藤本  合併症としてかなりの頻度で起こるのは、テープかぶれ。傷が開いてしまって、そこから化膿してしまうこともあります。あとは、切っているので傷が残ってしまうこともありますね。
    ジミー やっぱり、体に傷が残ってしまうのは、受ける側としては気になるメェ・・・
    藤本  ですよね。そして、これは合併症ではないですが、エクリン腺の方がアポクリン腺より浅い所にあるので、皮膚を裏返した時、どうしてもエクリン腺の方が取りにくくて、取り残しが出てしまう可能性がある。手術をしても、効果があまりなかったと感じてしまうことになるんです。
    ジミー うわぁ、それは何とも悲しいメェ・・・!そんな手術をたくさんやってこられたんですね。尊敬します。
    藤本  ありがとうございます。形成外科医はほとんどの方が通る道だと思いますけどね(笑)。だから機器を使った「切らないワキ汗治療」を知ったときは、とても驚きました。

     

    3.ワキ汗治療に救世主誕生?!

    ジミー 機器でワキ汗治療、って、どういう感じなんですか?
    藤本  マイクロ波っていう、電磁波の一種を利用しています。
    ジミー マイクロ波・・・?電磁波??
    藤本  あんまり聞き慣れないですよね。身近なもので言うと、電子レンジもマイクロ波を利用しています。電子レンジでものをあたためられる仕組みは知っているかな?
    ジミー ううん・・・よくわからないメェ。
    藤本  簡単に説明しますね。マイクロ波を温めたいものにあてると、温めたいものの分子が目に見えないくらいの速さで振動します。目には見えないけど、分子がおしくらまんじゅうをしてるわけです。それで摩擦熱を起こして、ものが温まる、という仕組みです。
    ジミー なるほど、その仕組みを使った機器なんですね。
    藤本  ええ。電子レンジと全く同じというわけではないけれど、仕組みは一緒ですね。エクリン腺やアポクリン腺のあたりを狙ってチンして熱を加え、機能をストップさせよう、という機器です。
    ジミー へぇ!でも、皮膚の中をチンしてしまうなんて、聞いただけだとやけどしそうな気がするメェ・・・
    藤本  やけどをしないように、皮膚を冷やす仕組みがついています。専門的な話は割愛するけれど、ダメージを与えたくないところは冷やして、狙ったところをチンする設計になっています。皮膚の表面は冷やして保護しているから、傷もできません。
    ジミー なるほど・・・痛くはないんですか?
    藤本  麻酔の注射をしてから治療するので、ほぼ痛くないですよ。注射の痛みはあるけれど、治療中の痛みはほとんど無いです。ただ、痛みの感じ方はかなり個人差があるので、痛いのが苦手な人はまずお医者さんに相談してほしいですね。
    ジミー ふむふむ。なら、少し安心したメェ。それで、実際の治療の流れはどんな感じなんですか?
    藤本  まずはワキに麻酔をして、治療する部位に印をつけ、その後マイクロ波をあてていきます。最後に保冷剤でワキを冷やして、終了です。時間は両ワキで一般的には1時間から1時間半くらいですね。照射数が多い場合は2時間から2時間半くらいかかることもあります。

    ジミー では、先生が思う「切らないワキ汗治療器」の良いところはなんでしょう?
    藤本  まずはやっぱり、「切らないから傷ができない」というところですね。いくら汗の悩みを解決するとはいえ、手術をして傷を作ってしまうのは心苦しかったので、傷ができないことが一番だと思います。
    ジミー やっぱり、そこは大事だよメェ。
    藤本  ええ。そして、手術と比較すると、術後の患者さんの負担がすごく軽いのも良いですね。先ほど見せたとおり、手術のあとは1週間くらい固定が必要でしたけど、こちらは固定もいらないし、当日でもシャワー浴なら問題ありません。しばらくは激しい運動や飛行機に乗るのは避ける必要があるけど、日常生活にはほとんど影響がないと言えます。
    ジミー それも、患者目線としては嬉しいメェ!
    藤本  治療後も、基本的には通院の必要はなく、気になることがあれば来てください、という程度です。
    ジミー そういえば、切らないワキ汗治療と言うと、注射も聞いたことがあるメェ。
    藤本  そうですね、ボツリヌストキシン製剤をワキに注射する方法もあります。こちらは汗を出す指令を一時的にストップすることで汗を抑える治療ですね。効果が続く期間には個人差がありますが、いずれにせよ注射の効果は一時的なので、定期的に注射をする必要があります。
    ジミー なるほど。機器によるワキ汗治療は1回でいいんですか?
    藤本  基本的には1回ですね。生肉をチンして火を通したら、生肉に戻ることはないでしょう?ただ、症状の程度や効果の出方も個人差があるので、1回治療をしたけれどまだ気になる、という場合には2回目の治療をすることもあります。
    ジミー ふむふむ・・・定期的に通院できる場合は注射でもいいけど、それが難しい人や、ボクみたいなめんどくさがりは、機器の方が楽かもしれないメェ(笑)。
    藤本  そうですね(笑)。

     

    4.まとめ

    藤本  最初にお話ししましたが、やっぱりまだ「ワキ汗」「汗のにおい」で病院に行こう、という認識が広まっていないのが現状です。市販品でも対処しきれなかったり、日常生活に不便を感じている場合は、怖がらずに医師に相談してみて欲しいですね。
    ジミー まずは、患者さんの意識改革が必要だメェ。
    藤本  そうですね。患者さんによってどの治療が適切か、どんな治療が向いているかも変わってきます。今日お話ししたように、手術や切らないワキ汗治療器、注射など、様々な選択肢があるので、まずは1度受診して、自分に合った治療を選択するのが良いと思います。

    ジミー 先生、今日は貴重なお話を聞かせていただいて、ありがとうございました!
    藤本  こちらこそ、ありがとうございました。

    今回の記事はいかがでしたか?
    タメになった!と思ったら、是非シェアして欲しいメェ。

    汗への対処法をまとめたページはこちら⇒ワキ汗の対処法